正確な食物アレルギー診断が重要


食物アレルギーがある児童の保護者にとって、幼稚園や小学校に進む際は、心配事が多い。正確な診断を受け、給食などの対応を確認するには、入園・入学の半年前には準備を始めるのが望ましいという。注意したいポイントや、緊急時に備える自治体の取り組み例などを専門家に聞いた。国立成育医療研究センター(東京)のアレルギーセンター総合アレルギー科の福家辰樹医長は「食物アレルギーは個人個人で重症度が異なる。何をどのぐらい食べたらどんな症状が出るか、正確な診断を受けるのが重要だ」と指摘する。そのためには、血液検査だけでなく、原因と疑われる食材を食べて検査する食物経口負荷試験を受ける必要がある。医療機関によっては数カ月待ちのケースもあり、早めに予約を。試験を実施する施設や各都道府県の拠点病院は、基礎知識や災害時の対応などをまとめたインターネットのサイト「アレルギーポータル」から確認できる。医師の診断を受け、全身性の症状が現れるアナフィラキシーの有無や原因食物、学校生活上の留意点を学校生活管理指導表に記入してもらい、学校側に提出。学校との面談で、最近の症状や内服薬などの情報を伝え、緊急時の対応を相談しておく。福家さんは「給食がない幼稚園や学童保育でも、おやつや行事食の対応を確認して」と注意喚起する。NPO法人アレルギー支援ネットワーク(愛知県名古屋市)は、入園入学準備の要点をまとめたマニュアルをホームページに掲載。「面談は教頭や学級担任だけでなく、栄養職員、給食の調理員など、できる限り多くの先生に出席してもらい、情報共有をお願いする」など、経験に基づく助言が並ぶ。2012年に乳製品アレルギーの女児が給食の誤食で亡くなった東京都調布市では、毎年4月に食物アレルギーの研修を実施。今年は新型コロナウイルスの影響で中止したため、東京慈恵会医科大付属第三病院の医師による講義の動画と資料を市のホームページに掲載しており、参考になる。

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