ダヴィンチ心臓手術、順調に実績 静岡県立総合病院


手術支援ロボット「ダヴィンチ」を使った心臓手術で、県内唯一の認定機関の県立総合病院(静岡市葵区)が順調に実績を上げている。同手術は前立腺などの分野で普及が進むが、心臓では認定機関が限られ、都市圏に集中する。東海地方では愛知県を除き同院が初。コロナ禍で県外への移動リスクがある中、同病院は「県民への貢献度は一層高まっている」と自覚を高める。
 昨年11月の1例目からこれまで40~60代までの男女3人に施術しいずれも経過は良好という。9月には2件の手術を予定している。
 同手術で側胸部の数カ所の穴から入れる器具は手のような構造で、あらゆる角度での針の動きが可能。医師は鮮明な映像で部位を間近でとらえながら施術できる。患者は胸の真ん中を縦に数十センチ開く通常の手術に比べて負担が軽減される。早期の職場復帰を望む60代以下からの需要が高く、以前は首都圏の病院に赴いた患者もいたという。
 ダヴィンチを使った手術は2012年に前立腺がん手術で保険適用され、現在は全国に300台以上が設置されている。18年に僧帽弁形成術などが保険適用されたが、拍動し、出血しやすい心臓の分野では内視鏡など低侵襲手術の歴史自体が浅く、認定機関は20カ所目の同病院を含めて全国で25に達したばかり。認定医も数十人規模と限られている。
 認定医の恒吉裕史心臓血管外科部長(循環器センター長)は「患者にとって心強い選択肢となり得る。まずは当院で実施していることを多くの方に知ってもらえたら」と先を見据えた。

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