構想15年超、照射治療開始 山形大重粒子センター


東北・北海道で初となる重粒子線がん治療装置を導入した山形大医学部東日本重粒子センター(山形市)で25日、最初となる患者への照射治療が行われた。構想から15年以上をかけて整えてきた先進的ながん医療がようやくスタートし、初日は前立腺がんの患者2人が照射を受けた。この日は午前10時から照射治療がスタート。患者は専用の照射台で横になり、照射時間はそれぞれ2分程度だった。岩井岳夫副センター長、佐藤啓付属病院放射線治療科長が同センターで記者会見し、初日の治療が無事終了したことを報告した。報道陣に治療で使う水平固定室が公開され、岩井副センター長がモデル患者で照射治療を解説した。照射台の患者は、体形に合わせて成形した薄い板状の固定具を装着し、放射線技師が位置を調整して照射する流れを示した。岩井副センター長は「ようやく一つのステップを踏むことができた。研究を含めて新たなことにチャレンジしていきたい」と充実感をにじませた。国内7施設目の重粒子線がん治療施設は地上4階、地下1階で、総事業費は約150億円(装置約100億円、建屋約50億円)。建屋は約45メートル四方で、2017年に着工した。同センターは付属病院と廊下でつながる「総合病院接続型」で、施設面積の省スペース化などを実現。重粒子の照射部分が回転し、多角的に腫瘍を狙える「超伝導回転ガントリー」の小型化も図っている。山形大は付属病院の医療の柱を「がん」と位置づけ、04年から国立がん研究センター名誉総長の嘉山孝正氏(当時は山形大医学部長)を中心に設置計画を進めてきた。>>山形新聞トップ >>県内ニュース >> 社会

関連記事

ページ上部へ戻る