コロナ優先、結核病床半減 道東3管内はゼロ 300キロ離れた病院に搬送も


新型コロナウイルス感染症患者の病床確保などのため、道内の結核患者病床がこの半年で半減し、1日現在で78床となっている。釧路、根室、十勝の道東3管内では結核病床がゼロとなり、患者が住み慣れた地域から数百キロ離れた道央や道北の病院に搬送される事態も起きている。結核病床減少の背景には不採算性や、専門医確保の難しさもあり、今後も病床が減って地域偏在が進み、患者や家族の負担が増える恐れがある。「地元の大病院でも治療を受けられないなんて」。今春、市立釧路総合病院に入院できなかった道東の高齢結核患者の家族は、こう振り返った。患者は300キロ以上離れた道央の病院への入院を余儀なくされた。結核は、たんなどの中に菌が確認されると排菌して他人に感染させる恐れがあるため、結核病床での入院治療が必要になる。ただ、釧路管内では2月下旬、新型コロナウイルスの感染者が相次ぎ、結核病床を唯一設けていた市立釧路総合病院は、全10床をコロナ用に転換。十勝管内でも国立病院機構帯広病院が専門医を確保できないとして、3月末に全14床の休止届けを出した。道東3管内は結核病床の空白地帯となり、今春以降、釧路、十勝管内の計6患者が札幌や旭川などの病院に入院した。道東の患者の家族は「患者や家族の負担を考え、地元でコロナと結核のどちらも治療できる体制を整えてほしい」と訴える。だが同じ病棟に収容するのは感染防止の観点から困難も伴い、市立釧路総合病院は「コロナが収束するまで結核病床には戻せない」と説明する。

関連記事

ページ上部へ戻る