国が新型コロナウイルス感染拡大を受けた特例として、介護施設の事業者に認めた介護報酬の上乗せを巡り、上田、飯田の2市が利用者負担を軽減する独自の補助制度を設けたことが2日、分かった。国は収入が減った事業者への支援策として実際の利用に上乗せした報酬を請求できるとしたものの、上乗せ料金の一部は利用者負担になることから疑問の声が出ていた。
上田市は利用者に対し、介護報酬の上乗せによって利用限度額を超えた分を補助する。介護保険では、月の利用限度額を超えた分は全額自己負担になるためだ。限度額を元々超えていた人については、6月以降に特例措置の影響で増えた分のみを補填(ほてん)する。市高齢者介護課は「利用者の負担軽減を重視した」としている。
飯田市は、利用実態より上乗せした報酬分を事業者に補助する。対象は市内87施設で、2日までに21施設から申し込みがあったという。市長寿支援課によると、市内の施設からは「利用者から上乗せの同意は取りづらい」、利用者からは「自己負担が増すのは納得できない」といった声があり、10月からの開始を目指す。
この他、飯山市が「補助制度の導入は現時点で検討していない」としつつ、市内で特例を利用する事業所があるかどうか調査するなどし、他市町村の状況も踏まえて検討することもあり得る―としている。
厚生労働省は6月から、利用者の同意を条件に、デイサービスやショートステイなどの事業所に介護報酬の上乗せを認めている。
(9月3日)