赤字病院、5~6月も増加


一般社団法人日本病院会、公益社団法人全日本病院協会、一般社団法人日本医療法人協会は8月6日、加盟する全病院(4496病院)を対象に実施した、病院経営状況に関する合同調査の結果を公表した。新型コロナウイルス感染症の影響で、外来・入院患者の減少などは4月以降も歯止めが効かずに悪化。医療損益で赤字病院の割合が拡大していることが分かった。3団体の合同調査は4月期に関する調査に続き2回目。前回調査では、収入減少による病院の経営悪化が顕著であることが分かった。今回の調査期間は7月13日から今月3日までで、有効回答数は1459病院(回答率32.5%)だった。全病院の外来患者・入院患者数をみると、5月期は前年比で大幅減だった4月期よりも更に悪化。6月期に僅かながら回復の兆しが見える状態になった。
例年だと新年度の検診・人間ドックなどが多い時期だが、今期は大幅に減少。5月期は、どの病院でも例年比で6割から8割近く大幅に減少している。医業収支では、特に新型コロナウイルス感染患者の入院を受け入れた病院、外来や病棟の一時閉鎖に至った病院を中心に赤字病院が急増している。調査報告では、6月に入っても10%超の大幅な赤字が継続している病院があるとし、「新型コロナウイルス感染患者に対する診療報酬引き上げが行われたものの、経営状況の悪化に歯止めはかからなかった」と指摘している。経営悪化に伴い、一部大学病院などで話題になった夏期賞与の支給状況に関しては、全体の71.3%が「満額支給」と回答。減額支給を行った病院は27.2%、支給なしは0.8%だった。今後の見通しについて3団体は「入院基本料の引き上げなど診療報酬での対応や緊急包括支援事業が功を奏するには、まだ時日を要すると思われる」との考えを示す。その上で「病院の経営状況の悪化は深刻で長期化が予想される。適切な対応がなされない場合、地域医療を支える病院が経営破綻し、新型コロナウイルス感染症対応が不可能になるのみならず、地域医療が崩壊する危険性すらある」との危機感を強調。地域医療を支えるために、緊急的な経営支援の必要性を訴えている。

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