国内で新型コロナウイルスに感染した20歳未満のすべての患者を対象に、日本小児科学会がデータベースの作成を始めた。子どもの感染報告は少ないが、軽症も含めて症状や治療経過を把握し、情報を適切に公開しながら、治療法の確立や予防に生かしたいという。厚生労働省が各自治体から集めた6月3日時点のまとめでは、20歳未満の感染者は695人(10歳未満284人、10~19歳411人)で、20~50代でそれぞれ2500人以上の感染者がいるのに比べ圧倒的に少ない。死亡例・重症例は報告されていない。こうした背景のなか、データベース作成の研究代表を務める岡田賢司・福岡看護大学教授(小児科学)は、「患者情報は、その患者が住む自治体しか把握していない状態にあり、小児科医が子どもの感染状況や治療法・予防について責任を持って論評できない」と指摘。「小児科学会が症例を学問的に評価して、結果を迅速に社会に還元することが、学会に求められている使命」と話す。データベース化の対象は、本人または家族の同意が得られた20歳未満のすべての患者。参加する医師は、個人が識別されない範囲で、居住地や性別、年齢、持病や渡航歴、家族の発症の有無、感染者との接触歴、治療内容などの情報を登録する。症状の重い軽いは問わず、すでに治療が終わっている症例も含まれる。症例を集める期間は来年3月末までの予定。(熊井洋美)