医療従事者の賞与カット相次ぐ=新型コロナで病院収支悪化―離職検討やストライキも


新型コロナウイルスの影響が長引く中、医療従事者が賞与を削られるケースが相次いでいる。労働組合の調査では、3分の1の医療機関が昨夏より賞与を引き下げると回答。ストライキに踏み切る医療従事者も現れ、待遇悪化による離職者の続出を懸念する声が出ている。
 日本医療労働組合連合会(医労連)が7月にまとめた調査によると、昨年と比較できる354組合のうち、122組合で賞与が引き下げられた。全体平均では昨年比マイナス0.084カ月分といい、担当者は「コロナの影響が如実に出ている。この状況が続けば人手不足の中でさらに離職者が出る」と話した。
 千葉県船橋市の船橋二和病院では10日、夏の賞与が過去最低の0.9カ月分になったとして、医師や看護師ら8人がストライキを実施した。医師らが加入する労組によると、病棟の建て替え計画が進む中、新型コロナによる減収が重なり、病院の経営を圧迫しているという。
 ストライキに参加した医師の柳沢裕子さんは「新型コロナの減収分をなぜ私たちのボーナスから補わなければいけないのか」と強調。「全ての業界がマイナスになっている中、ボーナスが出るだけ良いじゃないかという声もあるが、一生懸命に医療をしているという誇りがだんだん損なわれてきている」と訴えた。
 東京女子医科大(東京都新宿区)は6月、上半期の賞与を支給しないと職員らに通知した。同大は「新型コロナウイルスに起因するこれまでに経験したことのない未曽有の収支悪化が大きな理由」と説明していた。
 これに労働組合側が反発。同大は外部からの資金調達で「原資にある程度のめどがついた」とし、賞与の支給を検討する方針を示した。
 同大に勤務する20代の女性看護師は「病院内は残業をしても申請できない雰囲気。東京女子医大はもともと他よりも給与が低く休みも少ないので、退職を考えている」と話した。 (C)時事通信社

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