交通事故被害者の幅広い救済を国に訴えようと、医師や後遺症患者の団体が署名を集めている。5月初旬に開始し、近く政府に提出する。団体は、重度障害者向けの支援の原資となる自動車損害賠償責任保険(自賠責)特別会計の積立金が減っていることにも危機感を強めており、問題を周知したい考えだ。活動主体は認定NPO法人「脳脊髄液減少症患者・家族支援協会」。脳脊髄液減少症は衝撃が原因で頭痛やめまいが起きる疾患だが、事故との因果関係の証明が難しく自賠責保険の支払いが認められない例も多い。協会は国に、積立金を確保して治療研究拠点を整備するとともに、現在は支援対象になっていない他の事故後遺症の救済にも乗り出すよう求めている。特別会計では、保険料を原資とする積立金の運用益で重度の障害を負った事故被害者を支援する。1994、95年度、財政難のため国が一般会計に借り入れた1兆1200億円のうち約6千億円が未返済で、年100億円超かかる支援事業などのため積立金を取り崩す事態が続いている。協会の中井宏代表理事は「被害者支援のための積立金が先細りの危機にあることを国民に広く知ってほしい」と話す。署名は専用サイト(https://form.os7.biz/f/ab48d812/)で受け付ける。〔共同〕