きりんカルテ、売掛債権現金化で医院の資金繰り支援


電子カルテのきりんカルテシステム(東京・千代田)は、診療所などの医療機関向けに資金繰り改善を支援するサービスを始めた。売掛債権を素早く現金化できる「ファクタリング」の仕組みを使い、診療報酬にあたる金額を通常より1カ月ほど早く受け取れるようにする。同社の電子カルテを新規に導入する医院に売り込む。同社はクラウド型の電子カルテ「きりんカルテ」を手掛ける。カルテ自体は医療機関に無料で提供しファクタリングなど周辺サービスで収益化する独自の事業モデルが強みだ。これまでもきりんカルテを使う医療機関にファクタリングを提供してきたが、今回は新規に導入する施設を対象に、導入前の診療報酬についてもサービスを提供する。山口太一社長は「新型コロナウイルスによる外出自粛で患者が減るなどして、資金繰りに不安を覚える医療機関が増えている」と話す。医療機関は患者が窓口などで支払うお金のほかに、公的保険でまかなわれる診療報酬が収入となる。ただ、診療報酬は診察から2カ月ほど後に振り込まれるため資金繰りに困ることがあるという。きりんカルテシステムは2%の手数料を受け取った上で、この診療報酬相当額を前倒しして医療機関に提供する。外出自粛などの影響で診療所の廃業や開業中止が相次いでいるとされる。新サービスで「公的融資などより早く資金繰りを手当てできるようになる」(山口社長)という。電子カルテは診療所内にサーバーを置くタイプで、導入や更新費用などに数百万円がかかるという。同社はシステム更新のタイミングなどで低コストのクラウド型に切り替える需要を取り込む。同社はオンラインで写真プリントを注文できるサービスを手掛ける「しまうまプリントシステム」創業者の永用万人会長が2016年に立ち上げた。現在は数百の医療機関に電子カルテを提供している。

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