歯の神経、再生医療を実用化 神戸の病院で治療開始


産業ガス大手のエア・ウォーター(大阪市)は、歯の神経組織「歯髄」の再生医療を世界で初めて実用化し、神戸の病院で治療が始まったと発表した。虫歯などで神経を失った歯に、培養した歯髄幹細胞を移植する。かむ感覚が戻り、土台の骨が衰えるのも防ぐ。神戸・ポートアイランドに拠点を置く医療子会社のアエラスバイオが技術を開発。連携する歯科医院「RD歯科クリニック」(神戸市中央区港島南町1)が、厚生労働省に再生医療計画を提出し、受理された。親知らずなど不要な歯から歯髄を取り出し、そこに含まれる幹細胞を約1カ月かけて培養する。増殖した細胞を、神経を失った歯に移植。1カ月ほどで歯の感覚が戻り、半年~1年程度で歯髄の周辺組織(象牙質)も再生する。歯の上部は通常の治療と同様に詰め物などで修復する。抜歯や移植、検査など一連の治療費は50万~70万円程度。保険は適用されない。同クリニックで治療を行い、アエラス社が細胞を培養する。他の歯科医院向けに講習会などの技術支援を行い、普及を図る。今秋には、培養した歯髄幹細胞を冷凍保存する事業も始める予定で、2023年度に売上高10億円程度を見込む。さらに、抜けた後の乳歯や、2等親以内の親族など本人以外の歯から採取した幹細胞による、再生治療の実用化も目指す。(横田良平)

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