ビニールカーテンで飛沫遮断 新型コロナのドライブスルー検査に新手法


新型コロナウイルス感染の疑いがある患者を車に乗せたまま検体を採取するドライブスルー方式の検査で、岐阜県内の病院が考案した特殊なビニールカーテンを組み合わせる方法が、全国の医療関係者の注目を集めている。考案したのは、松波総合病院(羽島郡笠松町)の松波英寿理事長。「岐阜カーテン」と名付けたビニールで窓を覆うことで患者からの飛沫(ひまつ)感染リスクを抑え、医師がより安全に、効率よく検体を採取できると好評だ。各地の検査センターでは、さまざまな感染予防策をとってPCR検査に必要な検体の採取を実施。ドライブスルー方式の検体採取の多くは、電話ボックスのような防護装置に医師が入って行うが、患者1人の採取が終わるたびにボックスの外側の消毒が必要で、消毒する人に感染リスクが生じるほか、時間や手間がかかる。一方、岐阜カーテンを使った方法は、車の窓をビニールカーテンで覆うことで患者を隔離。カーテンには手袋が付いており、医師は手袋に手を入れて患者の鼻から検体を採取する。さらに患者は鼻部分に穴が開いたビニール袋をかぶり、くしゃみやせきをしても飛沫が広がるのを防ぐ工夫をしている。患者は車に乗ったまま電子決済などで支払いし、ビニールは患者自身が外して自分で処分する。同病院で17日、岐阜カーテンを使った検体採取の実演が公開された。職員は車に乗ったままの患者に電話をかけて「ビニールを張るまで窓を開けないように」と注意事項を説明。岐阜カーテン越しに検体を採取する作業を披露した。同病院は、新型コロナの第2波到来を見据え、5月に岐阜カーテンを使った方法を公表。全国各地の医師会は「検査の効率化や医師の負担軽減につながる」と期待を寄せており、委託製造元には各地の医師会や病院などから150件以上の注文が寄せられている。県内では、数カ所の検査センターが岐阜カーテンを導入した。冬に向け、医療機関では新型コロナとインフルエンザの両方を検査できる態勢が求められる。松波理事長は「(岐阜カーテンは)安価で使い捨てでき、通常の診療にも応用できる。安全な検査につながれば」と話す。

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