iPSで頭頸部がん治療 免疫細胞を移植、千葉大など


人工多能性幹細胞(iPS細胞)から「ナチュラルキラーT(NKT)細胞」と呼ばれる免疫細胞を作り、頭頸部(けいぶ)がんの患者に移植する医師主導治験を理化学研究所や千葉大のチームが近く国に申請することが19日、分かった。了承されれば6月にも実施する。iPS細胞を使ったがんの治療は国内で初めて。NKT細胞はがんを攻撃する上に、ほかの免疫細胞の働きを高めるとされるが、血液中にわずかしかない。iPS細胞を使えば、大量のNKT細胞でがんを攻撃できると期待される。頭頸部がんは首や顎、口の中、喉などにできるがんの総称で、がん全体の5%を占める。計画では健康な人からNKT細胞を取り出して、iPS細胞にして増やした上で再びNKT細胞に変化させる。これを10人前後の患者を対象に、がんにつながる血管に注入する。2年間、移植した細胞に問題がないかどうか様子をみる。既に千葉大は頭頸部がんなどの患者自身から取り出したNKT細胞を、iPS細胞を介さずにそのまま増やして患者に戻す治療法を実施。がんが小さくなるなどの一定の効果が見られた。ただがん患者はNKT細胞が少なく、十分に働かないなどの課題があった。理化学研究所の古関明彦副センター長は「安全性を確かめた上で、治療効果を明らかにしていく。将来は肺がんなど他のがんにも使えるようにしたい」と話した。〔共同〕

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