がん「光免疫療法」の薬剤承認へ 年内にも世界初の実用化 厚労省部会了承


厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第2部会は4日、体の外から近赤外光という光を当ててがん細胞を死滅させる「光免疫療法」で使う薬剤について、頭頸(けい)部がんの治療薬として製造販売を承認することを了承した。正式承認されれば、世界で初めて同療法が実用化することになる。了承された薬剤は、光免疫療法で使用する「セツキシマブサロタロカンナトリウム」(商品名アキャルックス)。適応疾患は切除不能や再発した頭頸部がん。米製薬ベンチャー「楽天メディカル」が開発し、同社の日本法人が今年3月、日米の治験の結果を基に製造販売の承認を申請していた。この薬剤はがん細胞に特異的にくっつき、近赤外光を当てると化学反応を起こしてがん細胞を死滅させる。近赤外光が当たらなければ反応しないため、ピンポイントでがん細胞を攻撃できるとされる。同社が開発した近赤外光を当てるレーザー照射システムは2日に医療機器として承認された。薬剤が正式承認されれば、薬価収載され保険適用になり、早ければ年内にも同療法が実用化する見通し。光免疫療法の治験は2015年、米国で再発頭頸部がん患者を対象に開始。国内では18年から国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)など10カ所で実施されている。現在、10カ国以上で治験の終盤である第3相試験が行われている。厚労省は今年5月、この薬剤について、重篤で有効な治療法が少ない病気の治療薬を対象に、薬の販売後に必要な調査などを行うことを条件に治験の工程を一部省いて承認する「条件付き早期承認制度」を適用すると通知。有望な薬を世界に先駆けて実用化するために優先的に審査する「先駆け審査指定制度」にも指定されていた。【岩崎歩】

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