iPS細胞でがん治療、国内初 免疫細胞を注射で移植


iPS細胞からつくったがんを攻撃する免疫細胞を、千葉大と理化学研究所のチームが、口や鼻などにがんができる「頭頸部(けいぶ)がん」の患者に注射して移植したことが22日、わかった。がんの患者にiPS細胞を使った治療がされるのは国内で初めて。移植で使われた細胞は、ヒトの体内にわずかしかない「ナチュラルキラーT(NKT)細胞」と呼ばれる免疫細胞。がんを攻撃したり、ほかの免疫細胞を活性化させたりするはたらきがある。健康な第三者の血液から採ったNKT細胞からiPS細胞をつくり、大量に増やす。それを再びNKT細胞に変化させて患者に移植する。今回の移植は千葉大病院で14日、実施された。1回約5千万個の細胞を、2週間おきに計3回注射する計画のうち、1回目の注射を終えた。安全性を確認しながら2回目以降の注射をするという。治験の計画では、2年間で、手術や抗がん剤などの標準的な治療の後に再発した頭頸部がんの患者4~18人に対し実施する。がんは日本人の死因1位で、iPS細胞を使った治療に期待がかかる。一方、iPS細胞にはがん化のおそれがあるとされ、第三者の細胞をもとにつくったものを移植する場合は拒絶反応が起きる懸念がある。実用化に向けては、有効性とともに安全性の確認が大きな課題となる。(市野塊)

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