琉球大学と有限会社マイテック神戸研究所(兵庫県)は15日、沖縄県西原町の同大で記者会見し、新型コロナウイルスに感染しているかどうかを2分で可視化する新たな検査方法「CV検査」を共同開発したと発表した。県内患者の検体を用いた臨床性能評価でPCR検査との陽性一致率は72~94%になったという。今夏の実用化を目指す。CV検査は、エタノール液と特殊な抗体を混ぜた患者の検体(唾液や鼻咽ぬぐい液)を、マイテックの技術を活用したバイオチップ表面に垂らすと、新型コロナに感染している場合、顕微鏡でウイルス粒子が光って見える。光る粒子の数でウイルスの量が分かるため、投薬などの治療効果を調べることもできるという。琉大大学院医学研究科(感染症・呼吸器・消化器内科学)の金城武士助教は「日本は、世界的にみても新型コロナ検査数が少ない。検査数が多い国ほど死亡率は低い傾向にあるとの研究論文もあり、迅速・簡便で、大量検査が可能な新しい手法の開発が必要だ」と強調。「CV検査は検査時間を大幅に短縮できるだけでなく、測定前の工程が2ステップと簡便で、かつ抗原検査で検出できないような低ウイルス量の検体でも定量的にカウントできる」と利点を述べた。現在、感染しているかどうかを調べる検査は主に日本で2つ。PCR検査は結果が分かるまでに数時間かかり、熟練した技術も必要。抗原検査は簡単にどこでも検査ができるがPCR検査に比べ精度が低い課題がある。研究チームは1分間に4検体の測定が可能なCV検査のシステムも開発中。金城助教は「医療現場だけでなく空港の検疫所や大規模イベントなど短時間に多くの人が来場・通過する場所でも簡単・確実に感染者の特定ができる」とし、今夏の東京五輪をめどに実用化を目指したいとした。今後は、さらなる診断精度の向上を目指しつつ、大規模な臨床性能評価を実施するという。