軽症・回復者が大半 新型コロナ、道内初確認1カ月を分析


新型コロナウイルスの道内在住者での初感染が明らかになって、14日で1カ月。感染は拡大し、同日午後5時現在、道内感染者は142人。軽症者や既に回復した人が大半だが、4人が亡くなった。年代別の発生状況や発症時期、濃厚接触者の有無など道内の感染例について専門家らと分析、傾向や見通しを探った。(岩崎あんり、石垣総静、斉藤千絵)■感染状況は…60代最多、重症7人年代が判明している感染者のうち、60代が35人と最も多く全体の4分の1を占めた=グラフ1=。次いで50代が29人、70代が24人と続く。重症者は現在7人で中高年が多く、10代の2人は軽症、10歳未満は2人が軽症、2人が無症状。若年層の軽症傾向は道内事例からもうかがえる。札幌医大の横田伸一教授(ウイルス学)は「若年層が感染しないというのでなく、症状が出にくいということではないか」と分析。「症状が出ないと危機感も薄くなりがち。自分が感染源になる可能性を意識した行動が必要だ」と話す。濃厚接触者への感染が確認されたのは約2割の34人にとどまる。多くは家族や同僚で、近距離で感染者と接して飛沫(ひまつ)感染をした可能性があるとみられ、比較的限られた範囲での感染者が目立つ。政府の専門家会議の報告でも感染者の8割は他者にうつしていないとされ、横田教授は「感染力にも個人差がある。5人に1人くらいの割合で人より多くウイルスを出す患者がいるのではないか」と推測する。■病床確保は…入院80人、札幌満床症状が回復しPCR検査で陰性が確認されて退院した人や死亡した人を除く、入院患者(自宅待機も含む)は14日午後5時現在で80人=グラフ2=。道内で感染者(訪日外国人)が初めて確認された1月28日以降で最多となった。患者数は鈴木直道知事が週末の外出自粛を要請した「緊急事態宣言」が出された2月28日に62人となり、初めて60人台に達した。以降は50~60人台で増減。今月12日に71人となってからは70人台で推移していた。感染防止対策が整った感染者用の病床数は、道内で当初の94床から約250床まで拡大した。ただ、感染者数は地域によって偏りがあり、患者の多い札幌市では満床状態が続き、病床が空くまで自宅待機する軽症患者も数人出始めている。市立札幌病院では感染症専用の8床では足りず、集中治療室(ICU)の病床で重症患者を受け入れている。向井正也院長は「市内の感染者用病床はどこの病院もいっぱいで、行政には受け入れ病院を増やすようお願いしたい」と訴えている。■今後の見通しは…「徐々に落ち着き」発熱やせきなどの初期症状が発症してから検査で陽性が確定するまでは、数日から2週間程度で、平均約8日間。発症者は2月10日すぎから増加傾向となり、同19~25日の1週間がピークに=グラフ3=。ちょうど、さっぽろ雪まつり(1月31日~2月11日)が終了して1~2週間後に当たる。政府の専門家会議メンバーの押谷仁東北大教授は「潜伏期間を考えれば、雪まつりを起点に札幌で感染が拡大し、地方に漏れ出したのではないか」とみる。現在も感染者の確認は続いているものの、押谷教授は「いま多く出ている札幌のライブバーでの感染は、感染者を追える、いわば『コントロール下』にある事例」と指摘。「今後も同様の事例は2、3出てくると思うが、このようなコントロール下にある感染事例に集約されてくれば、感染状況が徐々に落ち着いてきていると言える」と話す。

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