新生児の先天性代謝異常検査 7疾患追加へ小児科医ら推進


先天性代謝異常などを調べる新生児マススクリーニングは20疾患を対象に公費負担で実施されているが、重症複合免疫不全症など7疾患について、県内で来年度から検査に追加する準備を岐阜大の小児科医らでつくる「東海マススクリーニング推進協会」が進めていることが16日までに分かった。理事長を務める小児科医の下澤伸行同大教授(64)は「造血幹細胞移植や遺伝子治療など治療法はめざましく進歩しており、発症前の新生児期に早期発見することで助けられる命が増え、病気による障害も減らすことができる」と意義を語る。検査は生後4~6日の新生児のかかとから少量の血液を採取して行う。遺伝性疾患は早期治療が重要で、小児科医らからは検査の対象疾患の追加を求める声が出ていた。さらに10月に始まったロタウイルスワクチンの定期接種が追加への動きを進めることになった。「ワクチン接種によって、ロタウイルス感染を予防することは子どもの健康にとって重要なことだが、重症複合免疫不全症だった場合、このワクチンを接種することで難治性胃腸炎を発症する恐れがあり、接種自体が不適当とされている」と下澤教授は説明する。既に愛知県や大阪府など9道府県では、同不全症などの追加検査を始めている。県内では同不全症、ファブリー病、副腎白質ジストロフィーなど7疾患を検査に追加する計画だ。「追加検査を希望しても生まれた場所によって受けられない状況をまずは解消しなければいけない。治療法は格段に進歩しており、新生児期に診断して発症前に介入することで助かる命を救え、病気による障害も減らせる」。一方で、追加の7疾患の検査は任意で有料という課題が残る。同協会では今後、国や自治体による公費負担も求めていきたいとする。県内での来年度からの追加導入に向け、医療従事者向けセミナーを23日にWeb開催する。詳細は同協会ホームページに掲載。

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