久万高原町立病院の看護師ら3人 コミュニティナース本格化


各地で高齢化が進む中、久万高原町立病院の看護師らが地域の中で病気・障害を抱える人や家族の暮らしを支える「地域看護(コミュニティーナーシング)」の実践を本格化させている。商店街で定期的に「保健室」を開設したり、地域巡回したりするなど、病院を出て地域の住民に寄り添う独自の取り組みを展開。住民が健康的に暮らせるまちづくりを模索している。【商店街「保健室」・移動販売に同行 定期的に日ごろの状態観察】モデルにしたのは、島根県雲南市の人材育成を手掛ける会社が提唱する「コミュニティナース(コミナス)」という考え方。地域に出向いて住民の心と体の健康を促進する医療人材のことで、専門知識をまちづくりに反映させる事業を展開している。久万高原町では2018年、町立病院看護師長の高田弘美さん(54)が第1号としてコミナスの研修を受講。町内各地のサロン活動に出向いて住民の健康相談を始めた。20年秋には久万町商店街(同町久万)の休憩所で「コミナス保健室」を開始した。高田さんや同病院看護師須田名奈さん(44)、看護師資格を持つ地域おこし協力隊員酒井春菜さん(24)の3人態勢で、毎週木曜の午後に住民の血圧や身長体重、血中酸素濃度を測定。住民からの健康相談に応じている。もう一つの活動が町内各地を巡る移動販売車への同行だ。3人は定期的に住民と接する中で、日ごろの健康状態を観察。必要と判断したときは病院受診を勧めたり関係機関と連携したりしている。21年度からは「コミナス保健室」や移動販売車同行などを含めた「ナスくるプロジェクト」(仮称)を立ち上げ、実証実験を実施し、具体的な事業化を検討する予定。高田さんらは「医療・介護・福祉は縦割りになりがち。各機関と役割分担しながら、住民が元気なうちから健康づくりにつながる仕組みを構築したい」と話している。

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