オンラインで体操指導 高齢者にリハビリ…大阪府立大


新型コロナウイルスの影響で家に閉じこもりがちな高齢者が増えるなか、大阪府立大がテレビ会議システムによる遠隔リハビリテーションを開始した。感染対策のため、3密を避けて少人数の高齢者が集まった複数の会場と大学をオンラインで結び、転倒予防の体操などを指導している。府立大は以前から、総合リハビリテーション学研究科のある大阪府羽曳野市に隣接する大阪府松原市の社会福祉協議会と連携し、地域の高齢者にリハビリを指導してきた。しかし、新型コロナの影響で今年3月から中断。同社協から「家に閉じこもったままだと、要介護状態に陥る恐れがある」と相談を受け、オンラインで再開することにした。9月上旬に開いたリハビリ指導には、大学から約5キロ・メートル離れた松原市内の3会場に計約20人が参加。画面を通して会話しながら約50分間、「棒体操」と呼ばれるリハビリに取り組んだ。棒体操は、新聞紙を丸めた長さ約55センチの棒を、椅子に座ったまま投げたり、受け取ったり、回転させたりするリハビリ。この体操を考案した府立大の横井賀津志教授(地域作業療法学)によると、体のバランスを崩した状態を体験することで、転倒しにくい体を維持できる効果があるという。遠隔リハビリについて府立大の石井良平教授(精神医学)は、「手持ちの機器を組み合わせて、すぐにできる。他の地域でも関心があれば、ぜひ声をかけてほしい」と話している。今後は体に障害のある人や、新型コロナの後遺症に苦しむ人などにも対象を拡大する。将来的には、リハビリの様子を撮影した動画を人工知能(AI)で解析し、一人ひとりの動きの特徴を瞬時に把握して指導できるようにする計画もあるという。

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