九州102病院耐震性不足 震度6以上 288病院診断せず 14…


 九州の1454病院のうち、すべての建物が震度6以上を想定した耐震基準を満たしているのは7割で、1割弱に基準を満たさない建物があることが、厚生労働省への取材で分かった。2割近くは耐震診断を行わず、基準を満たしているかどうかを把握していない。2016年の熊本地震では建物が損壊し、診療中止に追い込まれた医療機関もある。国は早期の耐震化を求めているが、改善が進んでいない現状が浮かんだ。

 昨年10月、同省が各都道府県を通じて調査した。九州7県で「すべての建物に耐震性がある」と答えたのは1064病院(73・1%)。これに対し、「一部の建物に耐震性がある」は93病院、「すべての建物に耐震性がない」は9病院で、合わせて102病院(7%)に耐震性不足の建物があった。耐震診断を未実施の「耐震性不明」は288病院(19・8%)に上り、実際には、不適合な病院はさらに多い可能性がある。

 全国では、すべての建物に耐震性があると答えた病院は76%。前年調査から1・5ポイントしか増えず、国が目標とする80%に届いていない。1981年の建築基準法改正前の建物は震度6強以上で倒壊、崩壊する危険性があり、同省は耐震化のための補助金の活用を病院に促している。ただ、資金面に加え、診療を続けながら建て替えることが難しいとの理由で進んでいない。

 災害時に24時間体制で診療に当たる災害拠点病院は、九州の106病院のうち100病院(94%)が「すべての建物に耐震性がある」と回答した。一部の建物が基準を満たしていなかったのは福岡3、佐賀、熊本、大分各1の計6病院。各県や病院によると、このうちJCHO南海医療センター(大分県佐伯市)は2019年度中に建て替えが完了。福岡大病院(福岡市)や佐賀大医学部付属病院(佐賀市)は23年度、残る3病院は20~21年度内に耐震化を終える予定という。 (久知邦)

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