在宅医療の意義 ブラジルへ配信 松山でセミナー


高齢化が進む日本の在宅医療推進の取り組みを紹介するオンラインセミナーが20日、松山市別府町の医療法人ゆうの森からブラジルの医療関係者に向けて配信された。理事長の永井康徳医師(本紙コラム「四季録」執筆者)が、患者が最期まで自分らしく生きるために必要な支援の方法などを語った。日系社会の発展などを目指し研修事業に取り組む国際協力機構(JICA)四国と、同法人が協力して開催。ブラジルの医師や看護師、福祉関係者ら約360人が聴講した。2000年に四国初の在宅医療専門診療所を開設し、自宅でのみとりを支えてきた永井医師は、多くの高齢者が亡くなる「多死社会」を前に「治すことを主眼にした医療ではなく、どう生きるかを追及し天寿を全うする生き方に寄り添う医療が必要」と指摘。医療者や患者、家族が「いつか必ず人は亡くなる」という事実にしっかり向き合った上で、本人が望む最期を考えていく意義を語った。在宅医療の質を高めるには医師や看護師ら単独職種の力では限界があるとし、「ITツールもうまく用いながら多職種のチームで連携し、情報の共有と方針の統一を図ることが大切」などと紹介した。ブラジル側の参加者は、医療スタッフ育成のポイントや運営体制を質問。高齢化が進みつつある日系社会の現状についても意見交換した。27日には中南米のスペイン語圏を対象に同様のセミナーを行う。

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