「食べたい…」仕組み解明 食欲不振治療への応用期待 久留米大教授


 久留米大分子生命科学研究所(福岡県久留米市)の児島将康教授(内分泌学)の研究グループが、食欲を増進するホルモン「グレリン」が活性化する仕組みを解明した。がんなどの病気による体重減少や食欲不振症の治療のため、グレリンと同じ作用の化合物を使った薬が開発されており、成果は製薬への応用も期待される。8月19日付の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズで発表した。

 児島教授らが1999年に発見したグレリンは、空腹時に胃から血液中に分泌され、脳に作用して食欲を促す。グレリンを構成するペプチド(アミノ酸の結合体)と脂肪酸が結び付くことで活性化されると考えられてきたが、その仕組みは謎のままだった。

 今回の研究では、細胞表面にある「グレリン受容体」の構造をエックス線で分析し、一部の隙間に、水に溶けにくい疎水性のアミノ酸「フェニルアラニン」が集積していることが分かった。脂肪酸も疎水性であるためフェニルアラニンと結合しやすく、その相互作用によって受容体が活性化される、と推測した。

 児島教授は「受容体の仕組みが分かれば、化合物の作用を高め、より効き目のある薬を作るヒントがつかめる。推測を裏付ける研究を進めたい」と話す。同研究所の椎村祐樹助教も共同で執筆した。 (野村大輔)

関連記事

ページ上部へ戻る