福島・飯舘のクリニック、院内処方開始 「ようやく便利に」


東京電力福島第1原発事故で全域避難が続いた福島県飯舘村で、事実上唯一の医療機関の「いいたてクリニック」が2日、院内処方を始めた。2017年3月に避難指示が一部解除された後も村内に調剤薬局は1軒もなく、住民は「ようやく便利になる」と安堵(あんど)の表情を見せた。 受診した住民が院内で調剤された薬を受け取り、その場で薬剤師から説明を受けた。クリニックは総合診療科で週2日診察する。 母親(98)の付き添いで来院した田村公夫さん(65)は「今までは当日中に薬を受け取れないこともあり、大変だった。とても助かる」と話した。毎月受診している菅野サツキさん(92)は「すぐに薬を飲めるのは便利」と喜んだ。 かつて村内に2軒あった薬局は原発事故を境に閉業。薬をもらうには村外に出るか、隣町の薬局に配達を頼む必要があった。大半の高齢患者が配達を利用していたが、到着まで半日ほどかかるのが難点だった。 村健康福祉課の担当者は「風邪をひいてもすぐ薬をもらえるのは、帰還者の安心につながる」と述べた。

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