愛媛大は5日までに、人体で免疫反応が起きるためには、免疫細胞の一種であるT細胞が糖代謝を活性化させることが必要であることを証明したと発表した。新型コロナウイルスによって引き起こされる免疫系の暴走(サイトカインストーム)の抑制や、慢性炎症疾患の新しい治療薬開発に期待がかかるという。同大医学研究科の山下政克教授らの研究グループが明らかにした。山下教授によると、T細胞の活性化には、ブドウ糖やアミノ酸などの栄養素を取り込み、それを代謝(分解)してエネルギーを生み出すことが必要だと報告されていたが、免疫反応に必要なのかどうかは、はっきりと証明されていなかった。グループは、T細胞の中にある解糖系酵素の一つを持たないマウスを用意し、免疫応答などを解析。この酵素がないT細胞は糖代謝が十分に行えず、体内でうまく機能しないことが分かったという。このことから、正常な免疫反応にはT細胞の糖代謝が必要なことに加えて、T細胞の糖代謝を制限することがアレルギー治療につながること、糖代謝を抑制する物質が免疫抑制薬の候補になりうる―と判明した。この研究成果は7月24日にイギリスの科学誌「Communications Biology」に掲載された。