転倒、即SOS 岩手・八幡平の企業が高齢者見守りアプリ開発


岩手県八幡平市のソフトウエア企業「APTECH(エーピーテック)」が、高齢者見守りサービス「Hachi(ハチ)」の提供を開始した。腕時計型端末「アップルウオッチ」に専用アプリをインストールすると、転倒時すぐに家族へSOSが発信される。医療施設と連携し24時間365日、高齢者の体調の変化を見守る。 高齢者の心拍数、歩数、位置情報を10分ごとに計測し、家族が持つスマートフォンと高齢者が利用する医療機関や介護施設の端末にデータを送信する。近距離無線通信「ブルートゥース」の機能を持つ医療機器を利用することで、血糖値や血圧も集計できる。 転倒時には時計の画面に5秒間触れるか腕を振ると、アプリに登録された家族全員に電話をかけられる。心拍数の急上昇などの体調変化でも家族と施設にSOSが発信される。 アプリを導入する施設側の利点も多い。利用者から集めたデータを一覧で確認できるため、管理に必要な作業の効率化や人件費の削減につながる。遠隔診療やデータ比較による病気の予見にも活用できるという。 ハチは大西一朗社長(60)の経験を基に開発された。2015年8月、脳梗塞で倒れた大西さんはリハビリに長い時間を要した。17年に再発したが、事前に体調の変化を感じ取り、早期治療をしたため短期間の療養で済んだ。「体調の変化が数値で分かれば病気も予見できる」と気付いた。 18年には盛岡市に住む父(88)が自宅の脱衣所で転倒。同居の母(85)は不在で、約3時間起き上がれなかった。「すぐに助けが呼べたら」と思い、アプリの開発を決めたという。 ハチは既に山口県の医療機関などで導入されている。今後は岩手、東京の医療機関や介護施設への導入を働き掛ける。 年内には高齢者と家族だけで利用できるサービスも提供する予定。大西さんは「アプリを普及させてデータを蓄積し、三大疾病の原因解明に役立てたい」と意気込む。

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