恐竜にがん 骨肉腫を世界初確認 岡山理科大とカナダの研究チーム


岡山理科大(岡山市北区理大町)の千葉謙太郎助教(古生物学)とカナダ・王立オンタリオ博物館などの研究チームは、骨のがん、骨肉腫に侵された恐竜化石を世界で初めて確認した。古生物学者と医学者が連携し、変形した骨の化石を、ヒトの腫瘍の診断と同様の技術で分析。動物化石の病変を調べる新たな基本手法として期待されるという。研究結果は6日までに英医学誌ランセット・オンコロジー電子版に掲載された。 骨肉腫を確認したのは、1989年にカナダで見つかった約7700万~7550万年前(白亜紀後期)の中型植物食恐竜で、角竜の仲間セントロサウルスの腓骨(ひこつ)。正常な腓骨に比べ、骨の端が大きく変形していたが、これまでは骨折が原因と考えられてきた。 同国の古生物学者デイビッド・エヴァンス博士らが2017年、骨折とは異なる特徴に気づき、骨病理学、整形外科学といった医学の専門家を含む研究チームを編成。CTスキャンで骨の内部構造を調べたり、顕微鏡を使って骨細胞レベルで観察したりしたところ、病変の領域が時間経過に伴い広がっていることなどが分かり、骨肉腫と診断した。 ヒトの腓骨に見られる骨肉腫の進行度とも比較し、罹患(りかん)したセントロサウスルは、死亡時にはがんが腓骨以外の臓器に転移していた可能性があることも判明した。 骨組織から恐竜の成長を調べる千葉助教は、13~18年の同国・トロント大在学時にエヴァンス博士の指導を受けた縁などから研究チームに参加。分析する化石の薄片の作成や、正常な骨組織との比較検討などを担当した。 千葉助教は「今回の分析技術を応用すれば、恐竜など絶滅動物とヒトが共通して持つ病気が分かってくる。病気の起源や進化の過程などの理解にもつながる」と話している。

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