新型コロナでがんの治療は?検査は? 臨床腫瘍学会が患者向けQ&Aを公表


新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本臨床腫瘍学会は、がん患者の感染リスクや治療の進め方などについてまとめたQ&Aをウェブサイト(https://www.jsmo.or.jp/general/coronavirus-information/qa.html)で公開した。米国では感染者増加に伴い治療を延期するケースも出ているが、同学会の石岡千加史理事長は「治療が遅れることで命に関わる場合もあるので、自己判断せず主治医と相談してほしい」としている。抗がん剤投与などの化学療法を受けている患者は、新型コロナウイルス感染による重症化リスクが高いとされている。抗がん剤によって免疫が抑えられ、侵入してきたウイルスなど異物を攻撃するリンパ球が減っているためだ。新型コロナウイルスを巡っては各地で院内感染が相次いでおり、患者の間には治療を継続できるか心配する声もある。Q&Aでは、感染が拡大する中での治療の進め方などについて解説。化学療法を受けている場合は治療を「継続すべきだ」としながらも、外来での治療の頻度を減らしたり、通院が必要な点滴薬から内服薬に変更したりするといった選択肢を提示している。一方検査については、新型ウイルス感染の疑われる症状がなければ予定通り受けてもよいとした。ただ、感染リスクの高い地域では2~4週間延期を考えることもできるとしている。また、マスク着用や「目鼻口を触らない」といった予防法も改めて明記した。学会理事で日本医科大武蔵小杉病院(川崎市)腫瘍内科の勝俣範之教授は「高齢者や、正常なリンパ球が減少しがちな血液がん患者は特に注意が必要だ。過度に恐れることはないが、手洗いなどを徹底し、健康な人よりも気をつけてほしい」と話す。Q&Aは今後、日本癌(がん)治療学会や日本癌学会と共同で随時更新する予定。【岩崎歩】

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