新型コロナ症状悪化、血栓症と関連 診療手引き改訂 厚労省


厚生労働省が新型コロナウイルス感染症の「診療の手引き」を改訂した。症状の急速な悪化と血が固まって血管に詰まる血栓症が深く関連していることなど、国内外の研究・報告を基に治療方針などをまとめた。医療関係者らを対象にしたマニュアルで、厚労省のホームページで公開しているが、一般向けにも有益な情報が盛り込まれている。5月18日に第2版に改訂された手引きでは、特に血栓症との関連性を踏まえて治療方針を記載。策定に携わった国際医療福祉大の加藤康幸教授(感染症学)は「肺動脈に血の固まりができると酸素が取り込めなくなる。新型コロナは肺炎を起こすが、血栓症と合併するような病態が今、考えられている」と話す。改訂版では、血中の濃度変化をみることで診療の手がかりとする「重症化マーカー(指標)」の記述を充実。重症化の目安として有効な可能性があるとした。血栓症の事例として、若者でも血管が詰まる脳梗塞を起こしたケースに言及した。軽症患者の突然死も血栓症との関係が「示唆される」とし、欧米では、全身の血管に炎症が起きる川崎病のような症状が子供で報告されたことも紹介した。また、症状を4段階に分類。軽症はせきだけで息切れはなく多くは自然に回復するが、発症2週目までに急速に進行することがあり、多くが低酸素血症を伴うとした。中等症は入院が必要で、息切れや肺炎を起こした場合と、呼吸不全で酸素投与も必要な場合に分類。重症は集中治療室入りや人工呼吸器が必要で、これも2分類した。血栓症のマーカーが高い場合、抗凝固薬の投与を推奨した。厚労省が13日に承認した抗原検査についても記述。精度の点から、陰性だと確認する目的などでの使用は適さないとした。(千葉倫之)

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