難病「ミトコンドリア病」に診断薬 久留米大開発、早期発見に期待


 久留米大医学部(福岡県久留米市)の古賀靖敏教授(小児科学)の研究グループが、国の指定難病「ミトコンドリア病」を早期発見するための診断薬を開発した。従来の方法より安価で検査期間が短いのが特長。実用化を目指し医薬品を承認審査する独立行政法人・医薬品医療機器総合機構に承認申請した。

 ミトコンドリア病は、細胞内でエネルギーを作る小器官ミトコンドリアの機能低下が引き起こす。症状は筋力低下や糖尿病など多岐にわたるため、診断が難しいとされる。国内の患者は推定2000人。診断できても完治は難しいが、進行を遅らせる治療を行う。

 古賀教授は、病気になると、血中のタンパク質「GDF15」の数値が上昇することに着目。4年前、精度の高い新たな診断法として論文発表したが、検査キットが高価なため、普及していないのが現状という。

 そこで検査薬製造会社・医学生物学研究所(名古屋市)の協力を得て、独自の診断薬を開発。検査期間を従来の3日から10分に短縮し、10万円程度だった価格も4分の1以下に抑えた。研究成果は5日付で英国の専門誌に発表した。

 診断薬は一般的な分析機で使用できるため、専門医がいない地方の病院でも診断が可能になるという。古賀教授は「実用化すれば患者を早期に発見し、適切な対症療法を行える」としている。 (野村大輔)

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