「がん検診」受診減…密集状態を懸念 『早期発見』失う危機感


県保健衛生協会が県内市町村から委託を受けて実施しているがん検診の本年度受診者が、前年度と比べて大きく減っている。新型コロナウイルスの感染拡大で、密集状態が生じやすい集団検診を避ける傾向が強まっていることが一因とみられる。協会は、がんの早期発見の機会が失われ、進行した状態のがんが来年度以降に見つかるケースが増えるのではないかと危機感を強め、密集対策を講じるとともに適切な受診を呼び掛けている。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の影響で、県保健衛生協会が行う集団検診は例年より遅れて6月から始まった。協会は肺、胃、大腸の3種類のがん検診について、7月22日の時点で7町村分を終えた。協会によると、このうち6町村はほとんどの項目で受診者数が前年度を下回り、ある町は3種類とも前年度の半数以下にとどまった。協会は、密集を避けるために検診を控えている人が一定数いるとみている。密集状態が懸念される集団検診ではなく、医療機関で個別に行われる「施設検診」を受診する方法もあるが、医療過疎の地域など施設検診が可能な医療機関が少なく、希望する全員が受診できるか不透明な地域もあるという。このため県保健衛生協会は、整理券を配って会場に入る人数を制限するなど集団検診の密集対策を講じ、受診者の安心につなげようとしている。県保健衛生協会の上部団体の日本対がん協会は、年間延べ約1100万件のがん検診を実施し、約1万3000人のがんを発見している。だが本年度は全国の支部の多くが、新型コロナの影響で受診者数が例年より3割以上減ると予想しているという。受診が3割減ると、がんの発見数が4000人分近く減る計算だ。がん検診は早期発見につながっている。県によると2017(平成29)年度の本県の胃がん検診は約13万人が受診し、345人に胃がんが見つかった。このうち77%に当たる265人は早期のがんだった。県保健衛生協会健診事業部の佐藤真也部長は「早期発見ができず、見つかった時には進行がんになっていたというケースは是が非でも避けたい」として、県民に受診を呼び掛けている。

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