発熱患者のたらい回し防止 仙台市が搬送新手順 第2波備え8病院選定


仙台市は新型コロナウイルス感染拡大の第2波に備え、発熱症状がある患者の救急搬送に新たな手順を導入した。市内8カ所の病院を「搬送依頼医療機関」と決め、感染の疑いが強い発熱患者を優先的に搬送する。感染を恐れた医療機関による受け入れ拒否が相次ぎ、患者を「たらい回し」にする事態を防ぐ。 発熱患者の救急搬送手順は図の通り。発熱症状を訴える119番通報で現場に駆け付けた救急隊は、宮城県医師会のPCR検査基準に沿い、発熱やせき、味覚・嗅覚障害などの症状の有無を把握し、感染の疑いの強弱を判断する。 感染の疑いが強い場合は、搬送依頼医療機関に受け入れを要請する。8病院は当直医の勤務状況などを踏まえ、あらかじめ受け入れの可否を通知しておき、救急隊は搬送可能な病院の中から最寄りを選択する。 全ての搬送依頼医療機関で受け入れが不可能となる事態も想定し、市内の感染症指定医療機関を最終的な搬送先とした。それでも受け入れ先がない万が一の場合、県調整本部の患者搬送コーディネーターが県内の病院への搬送を調整する。 救急隊による症状把握で感染の疑いが弱いと判断された場合は、救急患者の受け入れ態勢が整う「救急告示病院」などに搬送する。 市消防局は6月中旬に新手順の運用を始めた。以前は医療機関が受け入れの前提として、帰国者・接触者相談センターと相談して感染の疑いを判断するよう求めていた。救急隊が直接判断する仕組みに変わり搬送時間の短縮が期待される。 市は新手順を仙台医療圏の黒川、塩釜、名取市、あぶくまの4消防本部と共有。塩釜、多賀城、名取、岩沼、富谷の5市、亘理、山元、松島、七ケ浜、利府、大和、大郷の7町と大衡村の計13市町村から仙台市に発熱患者を救急搬送する際も新手順を適用する。 市健康政策課の堀江和巳医療政策担当課長は「感染が疑われる患者の搬送先が見つからない事例が他自治体であった。搬送体制は随時改善し、発熱患者がきちんと医療を受けられる環境を整備したい」と話した。

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