国立成育医療研究センター ES細胞で国内初治療 肝臓病の生後6日乳児に注入


国立成育医療研究センター(東京)は20日までに、有毒なアンモニアを生まれつき分解できない病気のある生後6日の赤ちゃんに、人間の胚性幹細胞(ES細胞)から作った肝臓の細胞を注入する治験を行った。赤ちゃんは生後6カ月で退院した。移植を受けるまでの一時的な治療で、チームは「赤ちゃんが成長するまでの“橋渡し治療”としての有効性を示せた。肝臓病では世界初だ」としている。さまざまな細胞に成長する万能細胞のうち人工多能性幹細胞(iPS細胞)による再生医療が先行する日本では、ES細胞による治療は初めて。昨年10月生まれの赤ちゃんは有毒なアンモニアがたまる「先天性尿素サイクル異常症」で、生後2日目にけいれんなどを発症。6日目以降、作製した細胞を注入した。注入した細胞からアンモニアの分解酵素が出たとみられ、状態は改善。体重6キロ前後に育った5カ月目に父親の肝臓の一部を移植した。免疫抑制剤を使い続ける必要があるが体調は良いという。家族は「希望の光が今回の治療でした。救っていただいたわが子の成長を楽しみに見守りたい」とコメントした。チームは今後、4人に同じ治療法を行って安全性と効果を確かめ、公的医療保険が適用される再生医療等製品としての承認を令和4年中に得ることを目指している。

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