統合失調症治療の副作用抑える、ビックデータから既存薬発見 京大グループ


レセプト(診療報酬明細書)など医療ビッグデータを用い統合失調症の治療に伴う副作用を抑える既存薬を見つけたと、京都大のグループが発表した。統合失調症の治療薬の副作用で、意思と関係なく口元が動く「ジスキネジア」を抑えることが期待できるという。国際科学誌に16日掲載される。統合失調症の発症率は人口の1%ほどとされ、治療では抗ドパミン薬が使われることが多い。長期投与による副作用でジスキネジアを生じることが知られているが、詳細なメカニズムは分かっていない。薬学研究科の金子周司教授らは、米食品医薬品局(FDA)の薬投与に伴う有害事象のデータ1千万件と日本の555万件のレセプトを解析。抗ドパミン薬の一つアリピプラゾールを投与された患者のうち、アセトアミノフェンという解熱鎮痛薬を併用している場合にはジスキネジアの発症率が低いことを見いだした。さらにラットを使った実験で、アセトアミノフェンが脳の特定の神経に作用し、ジスキネジアを抑えることが分かった。日本国内で、アセトアミノフェンを統合失調症治療の副作用予防に使うために必要な治験の実施は未定。金子教授は「ほかの多動性障害にも効果のある可能性はある。今後も研究を重ねたい」と話す。

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