国産の遠隔手術ロボ、商用5G使い世界初の実証実験 神戸大など「早期の実用化目指す」


神戸大学などは16日、国産初の手術支援ロボット「hinotori(ヒノトリ)」を、離れた場所から動かして模擬手術をする実証実験を始めたと発表した。同大学は、神戸・ポートアイランドの神戸大病院国際がん医療・研究センター(ICCRC)に開設した実証実験施設「プレシジョン・テレサージェリー(遠隔手術)センター」で、遠隔手術と遠隔指導の技術確立を目指す。神戸大と共に実験に携わった同市中央区の医療用ロボットメーカー「メディカロイド」とNTTドコモ(東京都)、そして神戸未来医療構想を進める神戸市が会見した。有線や第5世代(5G)移動通信システムでの遠隔模擬手術の実験は例があるが、商用5Gでの実証実験は世界初という。実験では、ICCRCのヒノトリを医師が操作し、道を隔てて数十メートル離れた「統合型医療機器研究開発・創出拠点」に置いたヒノトリで臓器モデルを模擬手術。操作した通りに動くか確かめた。操作するための3D画像はデータ容量が極めて大きいが、商用5Gを利用し、操作においてはほぼ誤差が生じなかった。支援ロボの世界市場はこれまで米国製「ダビンチ」の独壇場とされてきたが、神戸大病院は昨年12月、ヒノトリを使った初の手術を成功させ、メディカロイドが普及を目指している。ロボの開発にも携わった神戸大学の藤澤正人学長は「ほぼ遅延なく実験ができたが、今後多くのハードルを越えていかねばならない。できるだけ早い時期の実用化を目指したい」と話した。(霍見真一郎)

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