岡山大などが開発した医療用の針刺しロボット「Zerobot(ゼロボット)」が、患者を対象にした初の臨床試験に成功した。医療現場への導入に向け、早ければ6月にも岡山大病院で医師主導の治験を始める予定だ。がんかどうか針を刺して組織を調べる生検や、がんに電極針を刺して焼き切るラジオ波治療。CT画像を見ながら針を刺すこれらの「IVR」と呼ばれる治療法は、手術よりも時間がかからず体の負担も少ないため、超高齢の患者でもできるがん治療として利用が広がっている。一方、医師はCTで針の位置を確認しながら刺し込む必要があり、治療の度に被曝(ひばく)する。安全に治療できるよう、岡山大の平木隆夫准教授(放射線医学)らは、医師がCTから離れた場所で遠隔操作できる針刺しロボットの開発に着手。2016年にZerobotが完成した。Zerobotのアームは6方向に動く。医師はモニター画面を見てコントローラーでアームを操作し、針の角度や方向を調節しながら刺していく。人体模型や動物を使ったテストを繰り返して安全性と有効性を確かめ、その実績を基に、18年に患者を対象にした初の臨床試験を始めた。患者は同意を得た52~87歳の計10人で、がんかどうかを針を刺し込んで確かめる生検を受けた。針を刺す臓器は腎臓や肺、腰の筋肉、副腎などだった。その結果、ロボットを操作して刺した針は10人とも目標の部位に正しく到達した。ロボットが針を刺すのにかかった時間は平均4分、CTの照射時間も平均29秒と、どちらも従来の医師が手で刺す方法と大差なかった。ロボットの誤作動や重い合併症はなく、医師の被曝量はゼロだった。平木准教授は「人間を対象にし…