コロナ禍でも底堅い需要(特集/毛髪・頭皮ケア)


男女ともに髪ストレスが増加経産省の生産動態統計によると、今年上期(1 ~6月)の頭髪用化粧品出荷額は1,759億円(同4.2%減)と減少。新型コロナの影響もあり、生産量、出荷数量ともに前年同時期を下回った。一方で、外出自粛やマスク利用増の影響をもろに受けたメイクアップ、香水・オーデコロン、UVケア等に比べると下げ幅は小さい。2019年総出荷額が約3,934億円(前年比2.4%増)と伸長していることからもヘアケア需要の底堅さが伺える。アデランスは7月、コロナ禍のステイホーム期間中の髪について20 ~ 60代の男女4,888人を対象としたインターネット調査結果を公表。「髪にストレス、問題はありますか?」という項目では全体の56.7%が「ある」と回答(女性は68.1%、男性は45.3%)。男女ともにコロナ以前より髪ストレスを感じる回数が増加した。ストレスの中身について男性は「抜け毛が増加した」、女性は「ボリュームが出すぎる、まとまらない」が目立つ。その解決法として男性は「頭皮マッサージ」(22.3%)「育毛剤、発毛剤」(16.1%)、女性は「洗い流さないトリーメントやオイル」(39%)、「ヘアカラートリートメント」(14.8%)等を利用する傾向が強かった。アミノ酸系シャンプー需要拡大ヘアケア市場では、ここ数年オーガニック、ノンシリコン処方の人気が継続。ヒマワリ、オリーブ、ナタネ、アルガン、ツバキ、ヘンプなどから抽出した植物オイルとアミノ酸系洗浄成分を組み合わせたシャンプーやトリートメントの上市も進んでいる。最近ではアラニン、グルタミン酸、グリシン、タウリン等を増強し、「髪のためのプロテイン」「サプリシャンプー」等の訴求も増えている。ラックス、ロクシタン、パンテーンなど定番ブランドでもアミノ酸系シャンプーの新商品が目立つ。ヘアケアを専門とする化粧品OEMメーカーからは「最近はアミノ酸系シャンプーの引き合いがとても多い」「アミノ酸に両性界面活性剤を組み合わせる処方依頼が多い」などの声も。「自然由来成分で汚れを落とす」をベースに「髪に不足しがちな成分を補う」が、新たなトレンドとなりつつあるようだ。スカルプケア・育毛剤市場450億円に厚労省の薬事工業生産動態調査によると2019年度の「育毛液剤」(薬用シャンプー・リンス、育毛剤)の生産金額は約454億円(前年比35%増)と急伸している。頭皮や毛穴の脂や汚れを洗い流し、髪が抜けにくく、新しい髪が生えやすい頭皮環境を整えるのが目的のスカルプケア製品は、かつては中高年男性がメインターゲットだったが、近年は女性型脱毛症(FPHL)や若年性脱毛症が増加。女性、若者の薄毛ニーズの取り込み成功したことが、市場の拡大につながっている。育毛剤(医薬品除く)の販売チャネルは製品の性質上、Eコマースがメイン。センブリ、甘草(グリチルリチン酸ジカリウム)、ショウガ、ガニアシ、フコイダン等の植物・海藻由来成分が多く配合されている。最近では、LPS(リポポリサッカライド)、ピクノジェノール等の研究が進展。ファーマフーズでは、卵黄由来の独自成分「EGP」を配合した『ニューモ』が発売9 ヵ月で累計出荷数100万本を突破するなど好調だ。また手軽に髪のボリュームを出せるウィッグやエクステの需要も拡大。アデランスは大阪大学の乾重樹教授との共同研究にて「ウィッグの装着による心理的QOLの改善」を確認。『アデランスADシリーズ』はじめ14製品が昨年9月、健康増進機器に認定された。■ヘアケアサプリに期待感健康食品やサプリを活用して「体の内側から健康な髪や頭皮をつくる」というアプローチも広がっており、シスチン、グルタミンなどアミノ酸のほか、植物発酵LPS、アガリクス、カプサイシン、高麗人参、ノコギリヤシ、エンドウ豆、大豆イソフラボン、ガニアシ等が活用されている。化粧品同様、植物由来原料の人気が高く『ナトゥールシン・ビュリクシール®』(ウィルファーム)、『アナゲインNu』(エイチホルスタイン)、『フラバンジェノール®』(東洋新薬)などが供給量を伸ばしている。定期購読のお申し込みはこちらから(当サイトからの紙面PDFの閲覧も可能になりました!)

関連記事

ページ上部へ戻る