【変わりゆく医薬品情報提供~これからのMRのあり方】医学アカデミー 薬ゼミトータルラーニング事業部


医学アカデミー薬ゼミトータルラーニング(YTL)事業部は今月、癌領域のMR教育研修で定評がある教材「がん治療フロントライン」を大幅にリニューアルして新発売した。同教材はスライドや動画を組み合わせ、固形癌を中心とした癌領域を横断するコンテンツで、対象はMRをはじめとする医療者全般となる。専門用語の理解や医師とのコミュニケーション促進といった従来の学習内容の更新に加え、論文読解力の向上などを目的とする新規項目の追加を通じ、MRの資質向上につながる教材となっている。YTL営業部の山田香菜氏は「疾患ごとの教材とは異なり、各領域に横串を通して学べるだけでなく、最新治療についても学習いただけることが特徴」と説明する。「がん治療フロントライン ver2.0」イメージ図YTLは、ニーズに合わせた講師の派遣や教材提供を通じ、製薬企業や薬剤師・登録販売者など、医療に携わる企業・個人の人材育成を支援している。今年度のMR教育では新型コロナウイルス感染症拡大への対応を推進し、従来の「集合研修」に加えてチャット機能等の活用による双方向性のコミュニケーションが可能なオンライン研修などを提供。時勢や企業特性に合わせ、症例ベースで医師と語り込みができるプログラムや、学術的な知識・医療制度・倫理といった多岐にわたる教材を製作している。こうした中で今回リニューアルしたのが「がん治療フロントラインver2.0」である。製作当初は2021年の発売を予定していたが、同教材へのニーズが高まっていることから開発を急ぎ、前倒しの発売となった。「がん治療フロントラインver2.0」は、18年の発売以来提供してきた教材の内容を大幅に再構成しており、約110枚だったスライドは約300枚に増やしている。主なリニューアル内容を見ると、治験に関する論文データの読解力向上を目的とした章である「臨床試験」の新規追加が挙げられる。治験に関するフェーズごとの目的や関連制度から始まり、頻出用語の解説、生存期間の解析に対する理解の促進を図る解説などが盛り込まれている。加えて、抗体薬物複合体(ADC)やCAR-T療法といった癌領域で関心が高まっている薬物療法に関する章も追加された。YTLでは現在、胃癌や大腸癌といった各癌種ごとに18種類の教材を展開しており、新たに血液癌領域や副作用と支持療法に特化した教材の開発を進めている。そのため、癌治療全般にわたる横断的な学習教材である同教材は、各癌腫における理解の第一歩としての位置づけとなる。YTL企画制作部の輿石果那氏は、医師を取り巻く環境について「教材を監修いただいた先生方から、元来多忙な上、昨今は勉強会が中止・延期されて情報入手の場が制限されるなど、以前より情報が取りづらい状況でもあるとうかがっている」と説明。その上で、「本教材での学習を通じ、MRの方々が医療者(医師/薬剤師/看護師等)と症例フォローの語り込みができる基礎知識を身に着け、情報の取りづらい状況にある医療者に対し、最新情報の提供に役立てていただきたい」とリニューアルの背景を語った。YTLでは今後、自己免疫疾患や希少疾患といった領域にも「フロントライン」を拡大していく予定だ。また、医師が参画するMRの面談ロールプレイング研修を、年内にオンラインで実施することも視野に入れている。輿石氏は「現在、多くのディテールが対面からオンラインへ移行しているため、限られた時間の中で話の論点をつかむなど、信頼関係の構築につながるオンライン面談スキルの学習ニーズをうかがうことが増えた」と説明。今後のMR活動に求められるオンライン面談のロールプレイング研修を構築することになったとしている。さらに、製薬企業の研修担当部門やマーケティング部門、MRに加えて薬学部のある大学を対象に、YTLが製作する教材の監修医による勉強会も計画。山田氏は「医療に関わる製薬企業以外のステークホルダーにも、癌をはじめとした疾患の学術的な知識を普及するような活動に取り組んでいきたい」と話す。医学アカデミー 薬ゼミトータルラーニング事業部
http://www.ytl.jp/

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