岐阜市ナイトクラブ、安全確保へ店名公表 店長が当時の状況語る


◆予防策徹底、営業再開新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生し休業している岐阜市若宮町のナイトクラブ「シャルム」。店長(37)が初めて岐阜新聞の取材に応じ、感染が起きた際の状況や店名公表を決めた理由などを語った。来店者全員に氏名や連絡先の記入を求めるなどの感染症対策マニュアルを作り、2カ月半ぶりとなる19日に営業を再開する。シャルムで1人目の感染者が確認されたのは3月31日。25日に来店した男性グループの1人だった。4月1日には女性従業員の感染が判明し、店長は同日の開店直前に従業員からの連絡で事態を知ったという。従業員や来店客の手指消毒、テーブルやソファのアルコール消毒をしていたが、感染は起きた。「恐怖でしかなかった。どこまで広がるのか見当が付かなかった」と振り返る。「保健所に全面的に協力し、従業員や来店客の安全を確保したい」とその日のうちに臨時休業を決断。国内では中傷を恐れて店名の公表といった保健所の感染調査に協力しない飲食店もある中、店長は2日に、店名を公表する意思を市保健所に伝えた。市保健所の要請を受け、来店客リストを参考に連絡を取った。承諾を得られた客の連絡先を保健所に伝え、健康状態の相談や検査につなげた。感染は従業員や県内外の来店客、その家族や客の職場にも広がり、最終的に47人に上ったが、死亡者は出なかった。5月5日、県と市はクラスターの終息を宣言した。会員制交流サイト(SNS)上で女性従業員の写真を貼って「このホステスが感染した。死んだらしい」などと根拠のないうわさや誹謗(ひぼう)中傷が相次ぎ、体調を崩した従業員もいた。「店名の公表には後悔していない」と店長。営業再開に向けて感染症対策マニュアルには、乾杯を禁止したり、従業員と客との間にアクリル板を設けたりするなど、考え得る対策を盛り込んだ。客足の遠のいた歓楽街に再びにぎわいが戻ることを願いながら、再開日を迎える。

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