コレステロールの類似物質「コレステノン」が、胃がんの原因菌として知られる「ピロリ菌」の増殖を抑え、死滅させる効果があることを、信州大(本部・松本市)医学部分子病理学教室の中山淳教授らの研究グループが発見した。除菌が難しい薬剤耐性ピロリ菌にも効果を確認。ピロリ菌に対する新たな抗菌剤として、臨床応用が期待できるという。ピロリ菌は胃粘膜に生息し、胃がんや胃悪性リンパ腫の原因菌として知られる。保険適用で抗生剤を使って除菌するが、薬剤耐性菌「クラリスロマイシン耐性菌」の出現により、一次除菌の成功率は90%、薬剤を変えて行う二次除菌でも75%にとどまる。このため従来の方法とは異なる除菌方法が模索されている。研究グループが注目したのは、ピロリ菌の細胞壁に含まれる分子「CGL」。ピロリ菌の周囲にあるコレステロールを取り込んで作られ、菌の生存に重要な分子であることが分かっている。ピロリ菌と「コレステノン」を一緒に培養する実験を行ったところ「CGL」の産生量が低下。菌の増殖が抑制され、菌の形態がらせん状から球状に変形し、正常に運動できなくなったという。研究グループはこの結果から、コレステノンが菌の生…関連キーワード
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