ミトコンドリア病に受精卵の核移植、研究に限定し解禁へ


人の遺伝情報が含まれる受精卵の核を、第三者の受精卵や卵子に移植する「核移植」が限定的に認められることになった。遺伝性の難病「ミトコンドリア病」の基礎研究が対象となる。政府の生命倫理専門調査会が15日、文部科学省の新たな指針案を了承した。病態の解明や治療法の開発につなげるねらいがあるが、倫理的な課題もある。ミトコンドリア病は、細胞内でエネルギーをつくりだすミトコンドリアの機能が落ちることで起きる。筋力の低下、けいれんや意識障害など症状はさまざまで亡くなることもある。国内の患者は推計500~800人。根本的な治療法は見つかっていない。ミトコンドリアのDNAの異常が原因の一つとされる。このDNAの遺伝情報は母親の卵子から受け継ぐ。核移植は受精卵の核だけを抜き出し、第三者の正常な受精卵や卵子に移植する手法で、異常なミトコンドリアをもたない受精卵ができる。生まれてくる子どものミトコンドリア病を予防でき、英国などでもすでに実施されている。一方、もとの受精卵の核に含まれるカップルと、第三者の受精卵や卵子のミトコンドリアに含まれる女性の計3人の遺伝情報がまざった受精卵ができてしまう。2人の母親の遺伝情報を持つことになる。今回は認められていないが、核移植を応用すれば、第三者と同じ遺伝情報をもつ受精卵をつくるクローン技術につながるおそれもある。これまではクローン技術規制法にもとづく文科省の指針で禁じられてきた。しかし2019年に同会議が基礎研究で容認する報告書をまとめ、文科省が検討を進めていた。新たな指針では、核移植をした受精卵を子宮に戻すことは禁じる。研究に使えるのは、不妊治療の体外受精で使わなかった受精卵や卵子に限る。また、遺伝病などの研究目的であれば、受精卵に対するゲノム編集を認めることも決まった。核移植と同じく、対象は体外受精で使わない受精卵のみで、ゲノム編集をした受精卵を子宮に戻すことは禁じる。(市野塊)

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