七つの難病で新生児向け検査を開始 兵庫県内の16病院


神戸大学と兵庫医科大学は30日、兵庫県内の16病院で、脊髄性筋萎縮症など七つの難病について、新生児を対象に任意の有料検査を始めると発表した。近年、治療が可能になった病気が増えたためで、早期の治療につなげて病気の進行を抑える狙い。年間では県内出生者数の4割近い1万4千人程度の検査が可能になる。新生児には、先天性代謝異常など別の約20種類の病気について、かかとからの採血による検査を全国的に実施しており、その検体を2次利用する。新たに対象とする難病は、運動神経が十分機能せず全身の力が徐々に弱くなる「脊髄性筋萎縮症」や、生まれつきの免疫異常で感染症を繰り返す「重症複合免疫不全症」など。各難病の発症者は7千~10万人に1人程度で、現在はいずれも発症後に診断されるケースがほとんどという。脊髄性筋萎縮症は、生後半年までに発症して2歳までに死に至る可能性もあるとされるが、早期の治療で生存率が上がり、運動機能の改善が見込まれる。この検査を既に実施しているのは、ほかに千葉県と大阪府だけという。重症複合免疫不全症は生後2カ月後に接種する生ワクチンで重症の副反応を起こす可能性があり、接種前の診断が重要という。費用は7700円。会見した神戸大大学院医学研究科の飯島一誠教授(小児科学分野)は「すべての赤ちゃんが検査を受けられるようになり、最終的には公的な事業になってほしい」と述べた。(井川朋宏)

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