秋田スギ香る除菌用アルコール開発 認知症改善も期待


秋田県総合食品研究センター(秋田市)が、秋田スギの葉の成分を含む除菌用アルコールを開発した。殺菌効果を保ちながらアルコール濃度を極力抑えた点と、リラックス効果がある爽やかな秋田スギの香りが特徴。早期の商品化を目指し、県内の介護施設などでのモニタリングを実施している。 センターは2012年から秋田スギなどを利用したバイオエタノール生成の研究を進めており、技術を応用した。細かく刻んだ秋田スギの葉を入れたアルコール溶液を減圧蒸留し、殺菌効果が高い「テルピネン4(フォー)オール」など葉に含まれる成分を抽出した。 アルコール濃度は55%で刺激臭が少なく、かんきつ類のような秋田スギの香りがほのかに感じられる。通常の消毒液はアルコール濃度が70〜80%だが、秋田スギの成分により同程度の殺菌効果が得られるという。 センターは香りのリラックス効果を検証。20〜70代の男女100人を対象に噴霧前と後の脳波を比べた結果、リラックス度の指標となる脳波の数値が使用後に平均1.47倍になった。 秋田大医学部の協力で臨床試験も実施。アルツハイマー型認知症患者36人を2グループに分け、病室に通常の消毒液を散布するグループと秋田スギのアルコールを使うグループを比較した。約2カ月後、秋田スギのグループは、うろついたり、暴れたりといった症状が改善されたという。 商品化に向けて6月末まで県内の介護施設など50カ所でモニタリングを実施しており、香りの強さや消臭効果などについて評価してもらう。商品化の時期は未定。 開発を担当したセンターの進藤昌醸造試験場長は「介護施設や養護老人ホーム、災害時の避難所など幅広い場面で喜ばれると確信している。新型コロナウイルスで除菌用アルコール需要が高まっており、なるべく早く商品化したい」と意気込む。

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