自宅療養、地元医が観察 静岡市、医師会に委託【新型コロナ】


静岡市は27日、無症状や軽症で自宅療養している新型コロナウイルス感染者の健康観察を保健所の代わりに医師が行うよう、同市静岡、清水両医師会に委託すると発表した。患者の不安に即応するとともに、保健所の負担も軽減する狙い。市によると、全国でも珍しい取り組みという。
 3月1日に「静岡市方式 在宅ドクターサポート事業」として開始する。田辺信宏市長と静岡医師会の福地康紀会長、清水医師会の望月篤会長が市役所静岡庁舎で記者会見した。
 市保健所が患者や濃厚接触の同居家族に希望を聞き、かかりつけ医や最寄りの医師などとマッチングする。医師は約10日間、電話やオンラインで、血中酸素測定器(パルスオキシメーター)の数値や体温、コロナ関連の症状の有無などを聞き取る。
 静岡厚生病院(葵区)の田中敏博小児科診療部長が昨年から実施してきた手法。田中医師は「感染者は大変な病気にかかってしまったという不安が強い。医師が病状把握ともに心理的なサポートをする必要がある」と指摘した。
 市保健所では深夜まで新規患者の対応と並行して健康観察などの対応に追われ、専門職が担うべき疫学調査を十分できない一因になっていた。田辺市長は「一つの先行事例になればいい」と期待を込めた。
 同市の1月末までの自宅療養者数は延べ550人で、患者全体の42%を占める。自宅療養者が最多だったのは1月14日の131人で、同日の健康観察の対象者数は614人だった。

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