小林化工の業務停止、一部製品で除外


製造した爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤成分が混入し健康被害が相次いだ問題などで、6月5日まで116日間の業務停止となっている小林化工(福井県あわら市)について、福井県は2月22日、一部製品を業務停止から除外すると発表した。対象製品について「医療上の必要性が高く、安定供給に支障がなくなるまでの間に限り、除外する」としている。除外するのは、他の医薬品メーカーから小林化工が製造を受託している1成分2製品と、小林化工が他メーカーに製造を委託している3成分7製品。日本化薬(本社東京)が小林化工に製造を委託している抗がん剤テモゾロミド錠20mg「NK」と同100mg「NK」は、後発薬が同剤のみ。県は「市場シェアが極めて高く、代替品での対応が困難」としている。製造中は日本化薬が立ち会い、品質を保証する。小林化工が製造を委託している▽抗菌薬「バンコマイシン塩酸塩点滴静注用」▽血液凝固防止などの薬剤「注射用ナファモスタット」▽抗てんかん薬「バルプロ酸ナトリウム細粒」―の3成分7製品は他社の工場で製造、試験を行っており「品質に問題はない」としている。県は今月9日に116日間の業務停止命令を出した。停止処分とは別に法令順守の体制構築を求める業務改善命令も出しており、業務改善計画を3月10日までに提出するよう指示。事業の再開時期は計画内容を踏まえ検討する方針。県によると、同社が矢地工場と清間工場で製造する延べ約500製品のうち、承認外手順書や県の立ち入り検査時に見せるための虚偽の製造記録など「二重帳簿」の作成が約390製品、国の承認内容と異なる工程での製造が約180製品あった。さらに、1970年代終わりごろからは一部の品質試験が未実施で記録をねつ造していた。二重帳簿作成と承認外工程は遅くとも2005年には行われており、小林広幸社長ら経営陣は、法令違反の横行を長年黙認していた。睡眠薬が混入した錠剤は全国30都道府県の344人に処方され、小林化工によると、22日時点で錠剤を服用した239人から意識障害や記憶喪失、ふらつきなどの健康被害の報告があり、70代女性と80代男性の2人が死亡した。

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