コロナ禍 病院からニーズ 小松准看護学院 存続決まる


民間ビルに医師会と間借りへ 全国で准看護師養成所の閉校が相次ぐ中、小松市医師会は、建物の老朽化などで閉校を視野に検討していた小松准看護学院の存続を決めた。長引く新型コロナウイルス禍などを受け、村井裕・市医師会長は「准看護師のニーズはある。市内の病院、診療所、介護施設などから採用要望が寄せられた」と話す。 (井上京佳)准看護師は都道府県知事の免許で、国家資格の正看護師と業務範囲の差はない。医師や正看護師らの指示で医療行為ができる。戦後、全国で病院が増えたが、当時は女子の高校進学率が低く、高卒資格が要る看護師が不足。中卒で取得できる准看護師制度が一九五一年にできた。地域の医師会のほか、県や町立といった公立などで全都道府県に養成所ができた。その後、女子の高校進学率の上昇などで全国の養成所、入学者が激減。今では福井、秋田、沖縄県にはなく、岡山、山形県で近くなくなる。県内には他に、全国で徳島県との二校しかない県立の養成所、「総合看護専門学校准看護学科」が金沢市鞍月東にある。直近五年は定員百二十人の約四分の一しか入学していない。「地域の医療担ってきた」 小松准看護学院が入る市医師会館は築四十六年で老朽化し、建て替えが必要で移転は決まった。市内には高卒で入学できる看護学校が設立され入学者は減り、定員割れが続く。在学生は一年生二十四人、二年生三十人で、定数の四十人に満たない。費用負担もあり、医師会は閉校も視野に存廃を検討していた。小松市内では看護師の三分の一を准看護師が占める。市内に養成所があり、診療所など小規模医療機関が多いためとされる。医師会は、市内の病院や診療所、介護施設、小松市などに存廃を踏まえアンケートすると、准看護師採用に前向きな回答が得られた。医師による高額の講師料も下げ、医師会館は建て直さず、近くの民間ビルに医師会と間借りできるめどがついた。准看護師を毎年採用する市内の総合病院長は「准看護師はこの地域の医療を担ってきた」と認める。村井医師会長も「コロナ禍で看護師不足の地域もある。高齢化も進むが、簡単に医療者は育たない。地域とともに学院を維持させたい」と話す。小松准看護学院の在学生は十〜五十代と幅広い。看護助手として病院などで働きながら、正看護師より一〜二年早く資格が得られる。「子育てが一段落した世代も目指しやすい。正看護師にスキルアップする人もいる。第二の人生で准看護師として活躍する人もいる。ぜひ社会参加を」と応募を呼び掛けている。願書は12日必着で 願書の受け付けは十二日(必着)まで。(問)同学院0761(22)2671養成所、全国では激減 准看護師養成所 受験資格は中学卒業以上。2年で所定の課程が終わり、卒業すれば准看護師試験が受けられる。かつて全都道府県に計750校超あった。女子の高校進学率上昇で高卒者が学ぶ看護学校が増え、養成所は漸減。それでも入学者は1970〜90年代半ばすぎまで入学者も3万〜3万5000人いた。 多様化する医療に対応できるようカリキュラムが2002年、大幅に改定。授業時間が増え、医師の講師料が負担で、閉校が相次いだ。97年に全国で570校、2万9604人の入学者がいたが、20年には214校、7073人に激減した。 日本看護協会は、自律した判断ができる正看護師を養成する必要があるとして准看護師制度を廃し、正看護師の一本化を主張。准看護師養成所の新設反対や正看護師養成所への転換を働き掛けている。関連キーワード

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