福島産ワクチン注射器!薬剤充填で負担軽減 日本BD福島工場


医療機器製造の日本ベクトン・ディッキンソン(日本BD、東京)は11日、薬剤を充填(じゅうてん)した注射器「プレフィルドシリンジ」の本体を製造する福島工場(福島市)の生産ラインを報道陣に公開した。プレフィルドシリンジはインフルエンザワクチン接種にも使われる。国内の生産拠点は福島工場のみで、2023年から海外向けの製造を始める予定だ。担当者は「適切な量の薬剤をより安全に、簡単に投与できる。日本で普及していくだろう」と「福島発」となる製品の可能性を強調した。生産ラインでは炎を当ててガラス管を加工する工程などが全自動で行われ、従業員が製造途中の品を目視検査する。この日は、プレフィルドシリンジを使って社員がインフルエンザワクチンの接種を受ける様子も公開した。プレフィルドシリンジは薬剤を注射器に入れる手間がないため、すぐに患者に投与でき、投与量を間違えるミスもなくなる。ワクチン接種でのプレフィルドシリンジの普及率は欧州でほぼ100%、米国でも40%に上るが、通常の注射器よりも高価であるなどの要因から国内では5%にとどまっているという。福島工場では現在、国内向けに製造しているが、日本の製薬企業が海外市場向けに新薬を製造するのに合わせて国外向けの製造を始める。今後、新たに生産ラインを構築する。日本BDファーマシューティカルシステム事業部の金沢憲生部長(50)は「製薬会社の海外展開をサポートする製品を供給する計画をスタートさせた」と述べた。BDは米国に本社があり、年間売り上げは173億ドル(1兆8千億円)で、世界190カ国以上で事業を展開している。日本BD福島工場は1987(昭和62)年に稼働を開始し、プレフィルドシリンジのほか、病気の診断などのために微生物を培養する「生培地」を製造している。新型コロナウイルスを巡っては、海外のBDの拠点で製造した全自動PCR検査装置を検査し、国内に供給する役割を担う

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