ALS治療薬に可能性 AI活用新計算方法 京大など化合物発見


新薬候補となる化合物を予測する新たな計算方法を開発し、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療薬としての可能性がある化合物を発見した-。京都大iPS細胞研究所や武田薬品工業などの研究グループがこうした研究結果を12日、米科学誌電子版に発表した。計算方法は、ほかの病気についても新たな治療薬候補の発見に活用できると期待される。新薬開発では、膨大な数から治療薬となる化合物を選別する必要があり、「機械学習」という人工知能(AI)技術を使う手法が利用されている。ただ、AIで現在使われている計算方法では、正確さに欠けるといった課題があった。そのためグループは、熱が拡散していく様子を表す計算式を応用し、新たな計算方法を開発。一般公開されている化合物のデータベースを用い、予測精度を調べたところ、高い精度を示したという。この計算方法で、運動神経細胞が死ぬことで発症するALS患者の人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った細胞の細胞死を抑える化合物も予測。約200万個の候補を約6千個まで絞り込むことができた。患者由来のiPS細胞を使ってこれらの有効性を調べると、効果が期待できる化合物が252個見つかり、うち5個は既存薬よりも細胞死を抑える効果が強かった。iPS研の井上治久教授(幹細胞医学)は「開発した計算方法は、AIを使った次世代の創薬ツールとしての活用に期待できる」と話している。

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