主治医が「肺がん」2度見落とし 徳島県立中央病院、治療1年遅れ脳に転移


徳島県立中央病院(徳島市)は30日、県庁で記者会見を開き、70代男性患者の肺がんの所見を主治医が2回見落とす医療事故があったと発表した。がんは1年間発見されず脳に転移し、「ステージ4」の状態となっていた。病院によると、男性は昨年6月、胸部大動脈瘤(りゅう)の手術を受けた。術後のコンピューター断層撮影(CT)検査の画像を見た放射線科医師が、肺がんの疑いがあると電子カルテに記した。しかし、主治医は記載を確認していなかった。12月のCT撮影でも同様の記載があったが主治医は再び見落とし、今年6月の撮影で肺がんであることが判明。その後の検査で、脳への転移が分かった。この時、男性には腕に力が入らなくなるなどの自覚症状があった。病院側は男性と家族に対し、肺がんの発見と治療が遅れたと謝罪。患者は抗がん剤治療などを受け、状態は落ち着いている。電子カルテは確認後、「既読」の欄にチェックを入れることになっている。その痕跡はなく、主治医は病院の調査に対し「(所見の記載を)見たかどうか覚えていない」と話しているという。病院は、カルテが「既読」になっているかどうか定期的に確認する担当者を置くなどして再発防止に努める。西村匡司院長は会見で「初期(1年前)に治療を始めていれば(転移が)なかった可能性がある。見落としを注意喚起できるようなシステムになっていなかった」と述べた。

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