新型コロナ拡大 医学生、十分な学びができない現状 信大など31大学調査


信州大(本部・松本市)など全国の大学医学部の学生自治組織でつくる全日本医学生自治会連合(医学連)は、新型コロナウイルス感染症の拡大で医学生が受けている教育や生活への影響などをアンケートし、20日に結果をホームページで公表した。病棟での臨床実習をした医学生183人のうち、76%(139人)が「患者への問診ができない」と回答するなど、十分な学びができない現状が浮かび上がった。
 アンケートは8月10日〜9月30日にインターネット上で実施。信大など31大学の男女1082人が回答した。
 春ごろから全国的に臨床実習が中止されたが、4〜7月に183人が何らかの形で実習を経験。ただ、医師による回診への参加や、病棟への立ち入り、外来診療の見学が制限されているとした回答者がそれぞれ半数を超えた=グラフ。これらに「手術室への立ち入り」を加えた5項目全てで制限されたとしたのは34%(62人)。「制限されていることは特にない」「その他」とした医学生は15%にとどまった。
 経済面では、アルバイトをしている医学生(600人)の63%が収入の減少を訴え、必要な教材が買えないとの回答も多く、国や大学の支援制度が行き届いていない状況も浮かんだ。感染拡大前より精神状況が「かなり」「少し」悪くなったとした人は全体の55%。自宅にこもる生活や移動の制限などが影響したとする回答が多かった。
 医学連中央執行委員で信大医学部3年の田村大地さん(22)は学びの遅れなどを補うため「国が一定の方向性を示し、各大学がしっかり定めてほしい」と要望。書記長で同5年の伊東元親さん(23)は「コロナ禍でどんな学修をしたら良いドクターになれるか、医学生と国、大学などで議論できればいい」と話した。

(10月21日)

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